投資対象分野-人工知能(2)
こんにちは! Nです。
前回で2017年最後と思っていたのですが1回に収まらず、昨日に続いて「人工知能と経済の未来」の紹介です。
「人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊」 井上智洋著 →amazon
私が衝撃を受けた2点目から。
機械が機械を生むことで、爆発的に生産性が高まる可能性がある
人類はこれまで、蒸気機関の発明による第一次産業革命、電気モーターやエンジンなどの汎用技術による第二次産業革命、コンピューターとインターネットによる第三次産業革命と、その度に生産性を大きく拡大させてきました。
そして第四次産業革命は「汎用AI」の登場により起こることが予想されています。
経済の構造が変わる
これまでのものの生産は、生産設備である「機械」と「労働力」を投入することで行っていました。しかし、汎用AIが登場した以降は「機械」だけで生産ができるようになります。
例えば、車の生産の場合を考えてみましょう。
車の生産を行う場合、マーケティングの担当者が売れるであろう販売台数の販売予測を立て、開発の担当者が売れるであろう製品の設計を行い、実際に工場などの現場で部品の調達、生産から組み立てが行われます。
この全ての工程が汎用AIに置き換わることになります。
すると企業側としては、「労働力」の確保につきまとう、求人、給与の調整、労働環境の改善、教育などのコストなしに、機械の購入のみで生産を行うことができます。
機械の購入は資本を投入するだけでできますので、「労働力」の制限を受けることなく、その成果は爆発的に増えていくことになります。
この「労働力」を必要とせず「機械」だけで生産を完結させる経済を、現在の「機械化経済」と対比させて「純粋機械化経済」と本書では呼んでいます。
AIに奪われない仕事?
最近のAIの利用範囲の拡大により、雑誌の特集などで「AIに奪われない仕事は?」といったテーマの特集を見かけることがあります。
確かに生活の資金を得る上では、少しでも長く稼げる仕事を探すことは必要だと思います。
しかし、本書を読むと、汎用AIが普及した社会ではほとんどの仕事はAIに奪われるので、AIに奪われない仕事を探すより、奪われたあとの生き方を考えるほうが堅実な気がしてきます。
むしろ仕事ではない何かを追い求める社会になっているのではないでしょうか。
将来的なベーシックインカムの可能性
そして本書では、AIに仕事を奪われたあとの生活の方法として、ベーシックインカムの必要性が説かれています。
AIの発達により仕事を失い収入源が絶たれる人が増加すると、生活保護の対象を拡大せねばなりません。そしてその対象範囲が大きくなれば、それはベーシックインカムと変わらない事態になるということです。
財源は?
またその財源ですが、仮に「純粋機械化経済」が成り立った社会であれば、純粋機械化会社の株を政府が保有することで、その配当等によりまかなうことができるかもしれません。
現在の日銀のETFの買付けは、足元の経済を支えることを目的にしていますが、そのまま売らずに買続け、ベーシックインカムの原資にしていくこともありえるのでしょうか。
もしくは巨額の資金を運営しているGPIFが、集中的に純粋機械化会社の株を買うことで、全ての日本人に支払ができる年金原資を捻出するとか。
様々な弊害、軋轢はあると思いますが、仕組みとしてはできなくはないものだと思います。
本当にそんな社会になるの?
いつになればそんな社会になるのかは分かりませんが、移行する間には、多くの人の失業、インフレを含む貨幣価値の見直しなど、恐ろしい社会も待っていそうです。
その事態を少しでも免れる為には、純粋機械化会社、もしくはそのノウハウを持つ会社の株を保有しておくことで、個人に与える影響を抑えることができるのではないでしょうか。
いずれにしても、人工知能(AI)関連の銘柄は息の長いテーマになりそうです。
本書に関しては、必ずしも株式投資をする方ではなくても、いつかはやってくるであろう人工知能(AI)が発展した社会を迎える為の知識として、一読の価値があると思います。
まとめ
✔ 汎用AIの普及により爆発的に生産性は高まる
✔ 仕事を失った人たちの為にベーシックインカムが必要になる
✔ みんな仕事じゃないことをする社会になるかも!?