人気投信解説-LM・オーストラリア高配当(2)

人気投信解説-LM・オーストラリア高配当(2)

こんにちは! Nです。

今回は、前回に続いて2017年の人気投信「LM・オーストラリア高配当株ファンド」です。

早速、同投信の組入資産の状況から見てみましょう。

組入資産の価格推移

「LM・オーストラリア高配当株ファンド」の主な価格決定要因は下記の2点です。

(1)オーストラリア株の株価

(2)オーストラリアドル(豪ドル)円の為替

なお、組入資産にはREITも含まれており、REIT価格も変動要因に含まれますが、組入比率は全体の15%程度ですので、ここでは省略します。

オーストラリア株の株価の推移

同投信は特にベンチマークを設けてはいないので、直接的な参考指標はないのですが、ここではオーストラリアの代表的な株価指数「ASX ALL ORDINARIES(オーストラリア全普通株指数)」を見てみたいと思います。

引用元:ヤフーファイナンス


ここ5年間の価格推移でみると、大体5,000~6,000ポイントの価格推移ですね。2016年以降の足元2年間で見れば、世界的な株価上昇の傾向も受け、上昇の傾向が見られます。

豪ドル円の為替

引用元:ヤフーファイナンス


こちらは5年間でみれば、やや円高の傾向ですね。ただこちらも足元の2年間で見れば、75~90円程度の間での価格推移でしょうか。


株価、為替の推移について、特段ネガティブな情報はないように見えます。

では、投資信託自体の価格推移はどうなっているでしょうか。

投資信託の基準価格の推移


分かりやすく右肩下がりですね。。。

特にここ2年は組入資産の価格推移は、横ばいから上昇傾向にあるはずなのに、投資信託の価格はズルズルと下がり続けています。

改めて言う必要もないかもしれませんが、明らかに分配金の出しすぎです。。

2016年から純資産が増加

そして先程のチャート、下段の純資産の推移をみると、2016年半ばから2017年にかけて大幅に純資産を増やしています。

高い分配金を出し続ける一方で、基準価格は下がっており、「分配金利回り」が高くなったことで、銀行などの金融機関は販売しやすくなったんでしょうね。。

現在の販売状況

なお、同投信は2017年7月以降、販売停止になっています。

「LM・オーストラリア高配当株ファンド」の新規買付のお申込み受付けの一時停止に関するお知らせ →PDF

純資産総額が信託金限度額の8,000億円に近づいた為とのことです。

ただ、新規の販売をしないのであれば、なおさら高水準の分配金を出し続ける必要はない気がするのですが、このまま分配金を出し続けて終了させるつもりでしょうか。。

投資信託の運用について

投資信託の運用自体は、2011年の設定来で見れば分配金を含め、当初金額の2.5倍になっており、高い実績を出している投資信託です。

同ファンドは、「トムソン・ロイター リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2017」で最優秀ファンド賞も受賞しています。
(※ファンド・アワードなどの投資信託の評価方法に関しては、別途触れたいと思います。)

運用自体は実績を出しているのに、分配金を多く出しすぎている為に投資家に誤解を与えており、また、運用としても本来の目的に沿った運用ができないのではないでしょうか。

どちらにしても、今は販売されていない商品ですが、これからの購入をおすすめできる商品ではありません。

他のオーストラリア高配当株の投信は?

ちなみに、オーストラリアの高配当株に投資する投信は他にもありますが、下記ファンドを含め、残念ながら現在は同じような分配金の支払い状況です。

・ニッセイオーストラリア高配当株ファンド(ニッセイアセットマネジメント)

・オーストラリア・高配当株ファンド(三井住友アセットマネジメント)

銀行、証券会社などで、買付けを検討されている方は、改めて現在の運用状況を確認下さい。

まとめ

✔ 足元の運用状況に比べ、分配金は出しすぎている

✔ 分配金を出しすぎることで、各関係者の判断を歪めてないか

✔ 他のオーストラリア高配当株の投信も似た状況にある

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