分配型投資信託ってなに?(2)

分配型投資信託ってなに?(2)

こんにちは! Nです。

前回に続いて、分配型投信のお話です。

分配型投信の利益って何なの?

毎月決まった分配金の受取りがある人気の分配型投信ですが、「分配金」=「投資信託の利益」ではありません。

では、投資信託の利益は何でしょうか。

前回上げたグローバル・ソブリンのような海外の債券型の投資信託ですと、主な値上がりの要因は下記になります。

(1) 為替の円安推移による為替差益
(2) 金利の低下による債券価格の上昇
(3) 発行体の信用力上昇による債券価格の上昇
(4) 債券からの金利収入

(1)は為替の円高円安の変動により、損になることもあります。

(2)、(3)は組み入れられている債券の償還前の売買による損益はありますが、償還の満期まで持っていれば当初100のものは100で返ってきます。

※(3)に関してはデフォルトリスクもありますが、ここでは割愛。

(4)こちらが債券自体からの金利収入で、みなさんがイメージしやすい銀行の金利に近いものになります。

分配型投信の利益は運用報告書に書いてある

で、その金利収入はおそらく魅力的な分配金の説明で出てくるであろう「運用報告書」に書いてあります。

グローバル・ソブリンの場合はこちら →PDF

ページ7の下の方。
債券の金利収入の平均利回りは1.42%です。

仮に現在の基準価格約5,000円として、年間の金利収入は71円です。
これを12ヶ月で割ると約7円。

毎月の金利収入から得られる利益は7円です。

これに対して受益者に還元している分配金は毎月10円出しているので、これでは投資信託の運用としては赤字ですね。

では、残りの3円分はどうやって捻出しているのでしょうか。

上記の投資信託の利益(1)~(3)の売買による利益から捻出しています。

ただ、たとえたった3円、年間で36円、基準価格5,000円に対して0.7%だったとしても、市場の上下がある中で、毎年、その成果を出し続けるような優秀なファンドマネージャーはそうはいません。。

ファンドの運用について

またこういったファンドの運用は、同様の商品に投資をする代表的な指数(※)をベンチマーク(目標)として、ベンチマークを上回ることを目指して運用しており、投資家に対して毎年0.7%の利益を出すことを目的としていません。

(※)グローバル・ソブリンの場合は、代表的な世界の国債の指数である「シティ世界国債インデックス」をベンチマークにしています。

仮に(1)~(3)で利益が出ていたとしても、それは市況の恩恵を受けた利益である場合も多く、継続的に出し続けるられる利益かどうかは分かりません。

ですので、直近の利益がない場合、該当の差額はこれまで積み上げた利益を基にその取り崩しによる支払いをしているのですが、その算出基準も非常に分かりにくく、途中から買付けした投資家は実質的に元本の受取りをしているだけの状態の可能性があります。。


さらに、ここで分配型投信のデメリットの2点目

2.分配金が払い出されてしまう為、運用効率が悪い。

資産運用を考えるときの考え方の基本として “複利” を意識すべきです。

“72の法則” でしたっけ? 
年率7%で運用すれば、72を7で除した数字10.3、約10年後に資産は倍になるっていう計算のアレです。

今どき金利が7%なんて想像しにくいのですが、借り入れの場合だと漫画「闇金ウシジマくん」とかで出てきそうなトイチ(10日で10%の金利)でお金を借りたら、あっという間に借金が膨らんでいたっていうアレです。

複利で運用できる場合、金利で得た利益に対しても更に金利が付いてどんどん運用効率は高まります。

逆に今回の分配型投信は、分配金を出す為に途中でどんどん換金していきますのでその効果は得られません。

先程のように元本自体を受取ってしまっているような投資信託ですと尚更ですね。尚更というよりは、もはや何の為にお金を動かしているのか分からなくなります。。


非常に悲しい状況になっているのですが、これだけでは終わりません。

まとめ

✔ 投資信託の利益は分配金とは別に運用報告書に書いてある

✔ 分配金は投資信託の利益とは関係なく払い出されている場合も多い

✔ 「ウシジマくん」が一番儲かっている

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