人気投信解説-ハイイールド債券投信

人気投信解説-ハイイールド債券投信

こんにちは! Nです。

今回は分配型投信の中で、米国REIT投信の次に人気が高い投資信託、ハイイールド債券投信についてです。

米国REIT投信の次に人気の分配型投信

ハイイールド債券投信の代表的な投資信託は、

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド

またしても「フィデリティ」運用の投資信託でした。。

ここで誤解のないように申し上げておきますが、「フィデリティ」自体が悪いわけではないと思います。

前回の「フィデリティ・USリート」も設定当初から米国REIT価格の上昇を捉えて大幅な利益を出すことで、高い分配金の支払いを可能にした面がありますし、今回の「フィデリティ・USハイ・イールド」も投資対象自体が悪いわけではありません。

ただ今回も、足元の分配金の支払い方を含めてみてみたいと思います。


まずは組入資産の確認から。

ハイイールド債券とは?

投資信託に組入れられている「ハイイールド債券」は、投資不適格な格付けの債券です(「ジャンク債」と呼んだりもします)。

債券投資においては、投資適格と呼ばれるBBB-(トリプルビーマイナス)以上の格付けの債券に投資することが一般的ですが、ハイイールド債券投信は、あえて格付けの低い債券に投資することで、高い金利を得ることを目的とします。

もちろん金利が高いのは、発行会社の信用力が低いからであり、それに伴う債券のデフォルトリスクがあります。

また、そのリスク評価に合わせて債券価格も大きく変動する為、取扱いが難しい債券になります。

組入債券の格付け

「フィデリティ・USハイ・イールド」の組入れは、BB(ダブルビー) 及びB(シングルビー)格の債券が中心で、全体の70%程度を占めています。

ちなみに国内のBB~B格の会社だと、JCRの評価で(※注1)、日本板硝子(BB+)、フェローテック(BB+)、シャープ(BB)でした。まあ、すぐに潰れることはないですかね。。

(※注1)格付け会社は複数あり、国内だとJCR、R&I、海外ではS&P(スタンダードアンドプアーズ)、moody’s(ムーディーズ)が一般的です。格付けの基準も会社毎に少しづつ違います。

ただ、B+(シングルビープラス)以下の会社の登録はありませんでした。

これは私だけの理解かもしれませんが、国内の格付けは、対象となる会社側が主に債券の発行などを目的に、自ら格付けを取得するのであって、信用力が低ければわざわざ低い格付けを取得することはないということだと思います。

B格の国々

ちなみに国別の格付けだとS&Pの評価でB(シングルビー)格の国々は下記などになります。

ケニア(B+)、スリランカ(B+)、フィジー(B+)

カメルーン(B)、エクアドル(B)、カンボジア(B)

アルゼンチン(B-)、ギリシャ(B-)、ウクライナ(B-)

引用元: Standard & Poor’s Financial Services LLC (2017年11月10日現在)


B+~Bの国は投資先としての馴染みがなさすぎて、どう捉えて良いか分からないですね。。

B-だと、アルゼンチンは2001年に一度デフォルトをしてますし、ギリシャもつい2、3年前までデフォルトするかどうかで騒がれていましたので、かなり不安な国々ではあります。


そういった低格付けの債券を組み入れた「フィデリティ・USハイ・イールド」ですが、足元の分配金の支払い状況はどうでしょうか。

フィデリティ・USハイ・イールドの運用状況

直近の基準価格は3,769円(2017年11月10日現在)。

これに対して、毎月の分配金は50円。年間では600円ですから、基準価格に対して約16%の分配金を払い出しています。

では投資信託の収益状況はどうでしょうか。

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド 月次運用レポート →PDF

2ページ目の右下、組み入れられている債券の最終利回りは7.1%(※注2)。

(※注2)毎月の支払い金利の為の利回りということでは「直接利回り」での評価が妥当かもしれませんが、途中売買による変動もありますし、ここでは省略します。

信託報酬は8ページ目の下の方。1.7064%ですね。

基準価格約3,800円に対して、「分配型投信の評価指標」を当てはめてみると、

「投資商品の金利収入」 3,800円×7.1%  =270円

「信託報酬」      3,800円×1.7064%= 65円

「分配金」       50円×12ヶ月   =600円

投資商品の金利収入   信託報酬   分配金
270円       -    65円 -  600円  = -395円

まあ、ここに取り上げている時点でお察しだとは思いますが、大幅にマイナスです。。。

そしてやっぱり1回では終わらないので、次回に続きます。

まとめ

✔ ハイイールド債券投信は信用リスクが高い発行体の債券に投資している

✔ 「フィデリティ・USハイ・イールド」も分配金の支払い方が怪しい

✔ ワールドカップだったらグループB-には入りたくない

シェアする