人気投信解説-米国REIT投信(3)

人気投信解説-米国REIT投信(3)

こんにちは! Nです。

米国REIT(リート)投信のお話3回目。今回で〆めます。

人気の米国REIT投信の評価

前回お話した2投信、「フィデリティ・USリート」と「新光 US-REITオープン(ゼウス)」、どちらも毎月の家賃収入から得られる利益に対して、受け取れる分配金が非常に大きかったのですが、どうなっているのでしょうか。

結論から言うと、少なくともここ2、3年は投資元本をほぼ取り崩している状態です。。


2投信の分配金に対する毎年の不足額は、「フィデリティ・USリート」であれば-755円、「新光 US-REITオープン(ゼウス) 」で-540円。

この不足額は家賃収入とは別の方法で捻出することになりますが、捻出方法は下記のどちらかです。

「組入資産の値上がり」 or 「投資元本の取崩し」

是非、「組入資産の値上がり」に期待したいところですが、米国REI投信の組入資産の価格は、大きくは下記2点に集約されます。

(1)米国REIT価格

(2)ドル円の為替

それぞれ見ていきましょう。

組入資産の価格推移

「フィデリティ・USリート」、「新光 US-REITオープン(ゼウス)」は、共に米国REITに投資しており、その運用は「FTSE NAREIT Equity REITs インデックス」をベンチマーク(目標)としています。

「FTSE NAREIT Equity REITs インデックス」は米国REITの代表的な投資指数であり、各投資信託の運用は、このベンチマークを上回る為の運用努力をしています。

ただし、ベンチマークが上がればそれに応じて投資信託の値段は上がるのですが、値下がり局面では、それに合わせた値下がりも免れません。

なので、投資信託の中で投資している米国REITの価格推移を知りたいと思う場合、この「FTSE NAREIT Equity REITs インデックス」の推移が参考になります。

米国REIT価格の推移

「FTSE NAREIT Equity REITs インデックス」の価格推移はこちら。

引用元:MarketWatch


リーマンショック直後の2009年の底では、200ポイントを切っていましたので、そこから比べれば現在の価格は3倍以上ですね。その間、単年でも30%以上上昇している年もあります。

ただ、ここ3年、2015年以降の動きはどうでしょう。2015年、年初の630ポイントから、上下はありますが概ね600ポイント台の推移に留まっており、直近は680ポイントです。

米国の株価は、足元も右肩上がりの状況が続いていますが、不動産は市場はその動きにはついていけてはいないようです。

3年間の上昇率は約8%、REITの配当金分を差し引くと値上がりはほぼ0か、少しマイナスですね。。(※FTSE NAREIT Equity REITs インデックスは配当込みの指数になります。)

ドル円の為替の推移

引用元:ヤフーファイナンス


こちらも2015年を起点とすると2015年年初の為替119円に対して、足元113円台。やや円高方向で、組入資産の評価としてはマイナスですね。。。

ということは?

残念ながら、直近3年間では「組入資産の値上がり」はみられませんでした(むしろ少しマイナスです)。

つまり、分配金の多くは「投資元本の取崩し」により支払われているということです。

この間の「フィデリティ・USリート」の基準価格の推移はこんな感じ。

引用元:ヤフーファイナンス


特に2005年からは分かりやすく右肩下がりですね。。

なお、再度補足ですが、この2015年からの3年間、組入資産の価格はほぼ横ばい~少し下がるくらいの水準には留まっていましたので、基準価格の値下がりはほぼ分配金の払い出しが原因と言えそうです。。

2投信の運用について

一応、2投信の名誉の為に申し上げますと、同投信が設定された2004年~2006年頃、2009年~2012年の間など、米国REITの価格上昇と共に大きく利益を出しています。

ただ、特に2009年以降の運用ではREIT価格が上昇しても、そのほとんどを分配金として払い出してしまっており、REIT価格が上昇しているにも関わらず、投資信託の基準価格は横ばい~やや下落の状況となっていました。

それが2015年以降はREIT価格の上昇も一服した為、基準価格の下落が顕著に現れています。

投資信託を買付けするお客さんは?

投資信託を買付けするお客さんは、不動産(REIT)に投資しているんだから、分配金は家賃収入に基づいて定期的に出てくるものだと考える人もいたと思いますが、同投信はあくまでREIT価格が値上がりすることを前提に購入を検討しなければいけない投信だったのです。。

特に2009年~2012年くらいまでの基準価格の推移を見せられると、基準価格の下落が少ない割にたくさんの分配金を出しており(※)、継続的な分配金を得られるような錯覚に陥っても不思議ではありません。

(※)過去には、「フィデリティ・USリート」で100円、新光 US-REITオープン(ゼウス)」で90円の分配金を出している時期もありました。

買付け時にこういった説明をしてくれる証券会社はあったのでしょうか。。


REIT関連の投資信託は同様の状況に陥っている商品も多くあるようです。

他には、ラサール・グローバルREITとか、ダイワ米国リート・ファンド、国内のREITに投資するJ-REITの投資信託も同じようなものがあるかと。

既に保有されている方は、一度見直しをしてみて下さい!

まとめ

✔ 2投信の分配金は元本を取り崩している状態にある

✔ 米国REIT自体は大きく値上がりしている

✔ 投信自体がお客さんを勘違いさせる商品設計になっている

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